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新春を寿ぐ |
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2021年1月2日 |
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 | 原田 美佳 [はらだ みか]
東京都出身。学生時代から長年関わった韓国文化院を2015年末に退職。現在は、日本ガルテン協会の広報部長の仕事をしながら、これまで関わってきた韓国文化を日本に紹介するための著作、交流活動を中心に自分のライフワークを模索中である。共著書に『コンパクト韓国』(李御寧監修)、『読んで旅する韓国』(金両基監修)、「朝鮮の王朝の美」、『朝鮮王朝の衣装と装身具』などがある。 |
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▲ 金杯でお屠蘇を頂く |
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▲ お正月用の箸置き |
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▲ 国立劇場のカレンダー |
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「新しき年の始めに思ふどち い群れて居れば 嬉しくもあるか」道租王 新年詠として大膳大夫道租王が披露した歌として知られる。 昨年来、世界はコロナ禍でたいへんなことになっているが、元旦から家族で新春を寿ぐ「納曽利」といった舞楽や、能「老松」、狂言「末広」を観て、お屠蘇やお節を頂く。このようなにこやかで、穏やかなお正月があと何年迎えることができるのか。 さて、今年のNHKの狂言「末広」は、大蔵流の人間国宝、山本東次郎先生やご長男の泰太郎さんらの出演での放送であった。20年ほど前に日韓の交流舞台でソウルに御一緒して以来のお付き合いである。狂言を観たことがと聞かれて、初めて見たのは学生時代に学校行事で皆で行きましたと答えたところ、それは私たちですと山本東次郎先生に言われて驚いたことがある。 戦後、食うや食わずの中、狂言をはじめとする文化を伝え継承していくのはたいへんなことだったことは容易に想像できる。芸術家はそんなときに何をすべきなのか。人にとって文化、芸術はどんなものなのか、非日常のときになると考えさせられる。 山本先生は、兄弟で、手弁当で子供たちの狂言教室を開催されたという。私が狂言に触れたのもそうした流れのなかで行われてきた文化活動の一環であった。 戦争や災害などがもたらす文化、芸術への影響は図り知れない。昨年来のコロナでも大勢の人が罹患し、その後、多くの舞台がキャンセルとなり、無観客上演などとなっている。Zoomなど発展してリモートなども進んだが、まだまだインフラの弱さが各地で起こっているのは残念だ。 平和で穏やかでないと、音楽、美術などさまざまな文化は苦境に立たされることが多い。日本は戦後、災害には見舞われたが、おかげさまで長きにわたり、戦争もなく平穏無事に過ごしてきた、ありがたいことだ。
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