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ぴくせる日記
5 祖父の桂林、陽朔で見つける
2009年6月3日
橋場  恵梨香 橋場 恵梨香 [はしば えりか]

アメリカ生まれ、日本育ちの日系二世。小学二年生から高校卒業まで東京のアメリカン・スクールに在学。2005年にサンディエゴ州立大学アジア研究学部を卒業、そして2008年に同大学にて言語学修士号取得。現在カリフォルニア州のサンタクルーズに住み、サリナスにある公立高校で日本語教師を務める。念願の一眼レフを手に入れ、生活の中の小さな幸せをレンズを通して見つけている。英語のブログはこちら:http://thehungrypixel.tumblr.com
▲ 陽朔、川下りからの景色。
▲ 自然とともに暮らすシンプルライフ。
▲ 橋ぐらいならまだいいのですが・・・
祖父は桂林に二度行っている。中国の水墨画に描かれているような景色をわたしもいつか見られることを、祖父は昔から願っていた。

そして先月、やっとその願いを果たすことができた。

桂林の空港でバスに乗り、畑の間の道を走る。コンクリ畑であるマカオを離れて一面の緑を目にし、心が瞬間的に清められてゆくのを感じた。景色に癒され、わたしはうとうとと居眠りをしてしまった。
30分が経ち、目を開けると・・・

高層ビル、車の渋滞、大勢の人。
ありゃ?

桂林市内に着いたらしい。先ほどまで見えていた山が・・・ない。
祖父が20年前訪ねた桂林は、大都市に変わっていた。
一応、遠くに山は見える。そして一応、その遠くの山の方に行けば、リバークルーズなどできるようになっている・・・一応、そのリバークルーズをやってみた。

30分足らずのリバークルーズでは10の山が見物できると宣伝されていた。10人程が乗るモーターボートで、乗客はわたしと友人二人、そしてボートを操縦するおじさんの四人。クルーズが始まると、おじさんは言い慣れた解説を始めた。(今日は何回目だろう。)ボートを止めてはでこぼこに向かって指を指し、この山は不死鳥の形だとか、あの山はおじいさんの横顔で、違う角度から見るとおばあさんの横顔で、ほら、正面から見るとカメで、など、結構ややこしい解説だった。一体誰が決めたのだろう。クルーズが終わるころ、わたしは友人に言った。「わたしたちで決めた方がいいと思わない?あれはテレビを見る太ったアメリカ人、とか。」

桂林は他の都市と比べれば、もちろん自然が残っている場所だと思う。しかしその自然も、コマーシャル化されてしまっている。もうとっくに無くなってしまったものを、まだあるかのようなフリをして、無理矢理観光客に売りつけているような感じがした。

               ***

3日目、わたしたちは桂林からバスで一時間ほどの陽朔へ向かった。
バスから降りて、わたしはため息をついた。これだ〜!

わたしたちはにょきにょきと空に伸びる山々のふもとにいた。そしてその山たちを避けるように育った町。高層ビルなどは無く、こじんまりとしながらにぎやかな商店街が山と山の間に点在する。
わたしが想像していた桂林を、わたしは陽朔でやっと見つけた気がした。祖父が見た桂林は、こんな感じだったのだろうか。

5月5日付けのトップページでご紹介済みだが、わたちたちは自転車を借りて山の間をサイクリング。車で遠出しなくても、素晴らしい景色はすでに目の前。最高の天気に恵まれ、青い空の下で山の緑がきらきらと輝いていた。普通だったらコンピューターで写真修正でもしなければあり得ない鮮やかさだった。自転車でゆく道からはいろいろな光景が目の前を横切る。田んぼで働くおばあさんたち、水汲みをするおじさん(竿の両側に桶をぶら下げて肩に架けて担ぐ方式で!)、川で遊ぶ子供たち。素朴で幸せな生活が見えた。

しばらくサイクリングをすると川に到着。ここで道案内をしてくれていたガイドさんに自転車を預け、筏で川下りを始める。

緑に囲まれながら、のんびりと、ゆっくりと時間が過ぎる。

ここではまだ自然が生きている。鳥の形だとかカメの形だとか、人間に決めつけられたものにはなっていなかった。あとどれくらい、このままでいてくれるだろう。

しばらく筏で流れていったところ、耳障りな響きが聞こえてきた。ウィーン、ウィーン・・・カンカンカン。工事だ。音が大きくなるにつれ、前方から空の青でも、山の緑でもないものが見えてきた。まだガイコツ状態の、同じ形の建物がいくつも連なっていた。住宅施設だろうか、ホテルだろうか。わたしは一瞬にして宣伝用のビラが目に浮かんだ。「風光明媚、ホテル陽朔。2泊3日、XX万円!!」


わたしが見た陽朔、将来の孫に見てもらえるだろうか?

変化とは、素晴らしく、そしてなんて悲惨なものだろう。

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