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続・マカオ卒業アルバム:住民(その1) |
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2009年10月13日 |
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 | 橋場 恵梨香 [はしば えりか]
アメリカ生まれ、日本育ちの日系二世。小学二年生から高校卒業まで東京のアメリカン・スクールに在学。2005年にサンディエゴ州立大学アジア研究学部を卒業、そして2008年に同大学にて言語学修士号取得。現在カリフォルニア州のマリーナに住み、サリナスにある公立高校で日本語教師を務める。 |
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▲ <かつてのマカオを見つめる女性>
住宅街に囲まれ、さびしくポツンと水に浮かぶこのカジノ、なんだか「千と千尋の神隠し」に出てくる神様が通う銭湯を思い出しませんか?とっくの昔に閉鎖されたような雰囲気で、今ではぬけがら状態でした。それこそ夜中になれば「千と千尋」キャラが集まっていそうなところです。何年か前、もしくは何十年か前は、ここがギャンブルの代表的人気スポットだったかも知りません。しかしアメリカのトレンディーなカジノがどんどん侵入しつつある近年、こういう昔ながらのカジノはもうついて行けない時代となってしまったようです。
かつての栄光を寂しく語るこのカジノの亡霊を静かに見つめるこの女性は、一体なにを想うのでしょう。酔っぱらった観光客で賑わっていた頃を、この人は自分の目で見ているかもしれない。「あの頃のマカオ」を思い出しているのかもしれない。わたしはわずか一年でさえ色々な変化を見ました。マカオで生まれ育った住民の心境は一体どんなものなのか、想像もつきません。 |
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▲ <プータラおじさん>
小さな路地をたどって行くと、こんな光景が見えました。何軒か並んだおうちの前がちょっとした広場になっていて、おじさんたちが昼間だっちゅーのにお酒を手にし、麻雀なり、雑談なり、好きなように時間を過ごしていました。仕事はないのかしら?そんな質問もどうでもよくなるようなのほほんとした空気。汗ばむ真夏の日でしたが、エアコンが効きすぎたシャレたホテルにいるよりも、このように上半身裸になって木の陰の下で涼んでいたほうがずっとサマになっているプータラおじさんたちでした。 |
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▲ <マカオの外人>
カジノ業界で支えられているマカオでは、サービス業などで働く移民がたくさんいます。中国本土からの移民の次に多いのがフィリピン人。 この晩、1866年にポルトガル人によって建てられたモン・ハ・フォートという砦まで散歩をしました。マカオ半島北部と中国側まで見える砦のてっぺんに行くと、フィリピン人の男女5人が柵を乗り越えたところに並んで座り込み、夜景を楽しんでいました。真夏の夜に響くタガログ語での雑談には愉快な弾みがありました。フィリピンでの思い出話をしているのでしょうか。これからの夢を語っているのでしょうか。
きっと、「外国人」としてマカオで働くことは、決して生易しいことではないだろうと思います。きっと、それぞれつらいことが色々あるだろうと思います。しかしこのように仲間と集まって、新しい「ホーム」となったマカオをいっしょに見つめながら、お互い支え合っているのでしょう。 |
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2009年にわたしが目撃したマカオの住民。いろいろな人がいるけども、基本的には元気が良く、意思がはっきりしている、逞しい人々だなー、とわたしは思いました。
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