1989年創立 個の出会いと交流の場 研究会インフォネット
HOME 研究会インフォネットとは 会員規約 お問い合わせ
会員専用ページ
過去のINFONET REPORT カレンダー 会員連載エッセイ なんでも掲示板
会員紹介 財務報告
会員連載エッセイ
最近の記事 以前の記事
ぴくせる日記
25 子供がほしいと思えない理由(2013年5月現在)
2013年5月13日
橋場  恵梨香 橋場 恵梨香 [はしば えりか]

アメリカ生まれ、日本育ちの日系二世。小学二年生から高校卒業まで東京のアメリカン・スクールに在学。2005年にサンディエゴ州立大学アジア研究学部を卒業、そして2008年に同大学にて言語学修士号取得。現在カリフォルニア州のサンタクルーズに住み、サリナスにある公立高校で日本語教師を務める。念願の一眼レフを手に入れ、生活の中の小さな幸せをレンズを通して見つけている。英語のブログはこちら:http://thehungrypixel.tumblr.com
▲ 私のことを「日本語のお母さん」と呼ぶ生徒たち。
夫のダスティンは、私が自分の生徒を子供のようにかわいがり、いつもどうってことないことでも「すごいでしょ、すごいでしょ」と延々と語るので、私の事を「親バカ」と呼んでいます。

「親バカ」とは、とてもおもしろい言葉です。
日本文化では、自分の子供のことを褒めたり、誇らしげに語るのは、社会的に認められることではありません。本当は褒めたくても、人前では褒めないのが日本人です。そういう基準があるからこそ、「親バカ」という言葉があるわけですが、一方のアメリカでは、子供を褒めたり、誇らしげに語ることがむしろ基準。だから、「親バカ」という言葉など、存在しません。「親バカ」が普通だからです。言葉とはだから面白いもので、その言葉を話す人たちの「現実」に存在しないコンセプトは言葉にもないのです。

ある日、私は生徒に言いました。「先生はうちで親バカ親バカって呼ばれてるんだよ。親バカっていうのはね、。。。」と、「親バカ」の意味を説明したら、生徒たちはたちまち喜んで、その日以来「先生、親バカ!」が止まりません。ある日、お昼時間中に、教室の黒板が「親バカ」だらけになったことがあります。そんなに喜んで書くことなのか。。。(笑)

母の日に、生徒たちに “Happy Mother’s Day” と書いてある手作りのカードをもらいました。とても心がこもった内容で、読むなり号泣。この仕事をやってて良かったと思う瞬間でした。

まるで子供のような生徒が120人もいるから、子供がほしくないと思うのでしょうか。生徒に対してはここまで親バカでも、自分の子供を持ちたいとは思いません。周りにも子供がいないカップルがたくさんいるので、「子供は持つべきだ」というようなプレッシャーもまったく感じません。何回かラジオで聞きましたが、アメリカで行われた数々のアンケートによると、子供がいるカップルより子供がいないカップルの方が断然「幸せ度」が高いとか。(しかし同じアンケートで、子供が生まれたことによって犠牲になったことや大変なことも全部含めて、また一からやり直せる場合、子供をまた産むかという質問に対し、ほとんどのカップルが産むと答えたそう。)

一人っ子の私は、必ずペットが家にいました。でも、ほしがるのは私なのに、世話は全然しませんでした。高校生のとき、最小限の水でサバイバルできるサボテンがカッコいいと思い、小さいのをいくつか買って部屋に置きましたが、そのサボテンさえ死なせてしまいました。サボテンを死なせる私は、母性本能のカケラもないのだな。本当に向いていないんだな、とつくづく思いました。子供とは、ペットや植物とは違うことは分かっていますが。。。(笑)

一方のダスティンは、とてもマメな人で、幼い頃から動物や植物の世話が好きで、今もインコのぽっぽを息子のようにかわいがります。(日本にいる間、ぽっぽと私が二人で生活していることを密かに心配しているに違いありません。)でもそんなダスティンは私以上に子供はほしくないと思っています。「子供がいなくても幸せでいられる自信はあるけど、子供がいたら、この先幸せでいられる自信はない。」その気持ち、よ〜く分かる。犯罪、不景気、環境破壊。こんな世の中に新しい命を送り込んじゃっていいのかな、って思います。ダスティンがとても親しいおばあちゃんも、「子供なんて作らない方がいい」と、口癖のように言います。「子供を作らなかったら、後悔すると思わない?」とあるとき私は聞きました。すると、「そりゃ後悔するだろうね。子供を作った場合の不幸を知らないから。」ですって。

それでも、母の日にいろいろな母親の喜びについてフェイスブックなどで読んだり見たりすると、母親になるということについて考えさせられます。子供がほしくないと断言していたダスティンも、最近、「今はそう思うけど、数年後には考え方がどう変わっているか分からないよね」なんて言っていました。

私は今年で30なので、子供に関する決断はせいぜいここ数年でしなくてはいけません。でも昔のペットのパターンのように、ほしがっても結局世話をしないという無責任なことはしたくない。。。(ダスティンが子供がほしくない本当の理由は、彼がほとんど世話をするハメになると分かっているからだと思う。。。)産むなら思いっきり親バカな親になりたい。でも、親バカになる自信が、まったくない。

シーラ・ジョンソン夫人の「子供を持たなかった理由」を読んで、さらに色々と考えさせられました。プレッシャーによって子供を産む事になったシーラ婦人のお母様の経験は、私がよく聞く話とはまったく違うものです。「母親になったら人生変わるよ」とか、「母親になること以上に素晴らしいことはない」など、子持ちの知り合いはバラ色なことを言いますが、子供を産んだからって誰もが自動的にこのような喜びを経験するとは限らないのだと私は思います。実際、子供を産んで幸せな人は、子供がほしいと思って産んだ人たちですし。母親としての幸せ、そして何より、子供の幸せのためには、最低限、子供がほしい、と確信して産んであげないといけないのですね。

シーラ婦人は、子供を持たなかった理由の一つに、自分自身の母親が母性本能に欠けていたことを語っていらっしゃいますが、私は反対に、母が私にとっての母親の理想像。年を重ねるごとに、もっともっと母のような人間になりたいと思うけれど、母親そのものにはなりたいと思えないのは、彼女のようなお母さんになる自信がないからということもあります。

子供を持つにせよ、持たないにせよ、とにかく二人揃っての決断じゃないといけないのがもう一つの難関。一体、この先数年の間で、二人でなんらかの決断にたどり着く事ができるのでしょうか。
最近の記事 ページトップへ 以前の記事
ボーダーを越えて
雨宮 和子
かくてありけり
沼田 清
葉山日記
中山 俊明
寄り道まわり道
吉田 美智枝
NEW
僕の偏見紀行
時津 寿之
ぴくせる日記
橋場 恵梨香
縁の下のバイオリン弾き
西村 万里
やもめ日記
シーラ・ジョンソン
徒然.... in California
明子・ミーダー
きょう一日を穏やかに
永島 さくら
ガルテン〜私の庭物語
原田 美佳
バックナンバー一覧
29 カニを食べて分かったこと
28 10周年
27 予防型 VS. 後始末型
26 遠距離日記
25 子供がほしいと思えない理由(2013年5月現在)
24 富士山とスカイツリーのにらめっこ
23 不思議な国のきのこ
22 「一色」から「色々」へ
21 母の金メダル
20 個の出会いと交流の場・・・フェイスブック
19 Sky Tree
18 季節
17 千羽鶴
16 !?!?
15 新課題:ひと
14 なかよし
13 バターの代わり
12 Sakura in Santa Cruz 2
11 ハイキング
10 にょきにょき!
9 Spring has sprung!
8 Sakura in Santa Cruz
7 If life gives you lemons...
6 芽キャベツのあわれ
5 にっこりまん
4 チョコ
3 ナメクジに負けたアシカたち
2 マスコットの由来
1 蓮からナメクジへ
11 続・マカオ卒業アルバム:働き者
10 続・マカオ卒業アルバム:食
9 新生活アルバム:サンフランシスコ
8 続・マカオ卒業アルバム:住民(その2)
7 続・マカオ卒業アルバム:住民(その1)
6 新しい生活
5 祖父の桂林、陽朔で見つける
4 自分に似合った言語
3 マカオ恋しいものリスト
2 超級市場 vs 紅街市
1 日米恋しいものリスト
ページトップへ
Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved. Copyright(C) FORUM INFONET, All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等、全てのコンテンツの無断転載・複写を禁じます。
0 7 7 8 6 0 6 2
昨日の訪問者数0 5 0 8 9 本日の現在までの訪問者数0 2 1 9 8