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| ▲ 海に向かって入るようなホテル入り口。小さな階段を下りるとレセプションがあり、その下に５層（階）ほど部屋がある。 |
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| ▲ ロバのタクシー。崖下の小さな港から観光客と荷物を運ぶ。 |
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| ▲ 海は火山のカルデラ。クルーズ船が沖に碇を下ろし、小さなボートが崖下の港に人を運ぶ。遠く白く見えるのは島の北端にあるイアの町。 |
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サントリーニ（ティラ）島の中心地フィラは、火山島であるその島の、今は海となったカルデラを望む断崖に、白い家々がへばりつくように立つ印象的な町である。
このフィラで、町の伝統であるという横穴式住居を改装したホテルに泊まった。
ベネチア支配時代にはベネチア人の住居として、その後は修道士たちの住まいとして使われた建物だそうだ。
昼夜の気温差の大きい島にあって、室内は気温が一定していて思いのほか快適だった。冬に吹く偏西風に向いた住居だという。
この島の建物は、家としても部屋としても規模は小さめで、さして大きな家具やモノは収まりきれないだろうと想像された。
その慎ましやかな小ささは、この島の人たちの暮らしのシンプルさを物語っているようだった。
沖に浮かぶ火山の幾度もの大噴火によって、町はほとんど崩壊したものの、また人々が移り住んできたという。
自然の厳しさと人々のたくましさ、島のダイナミックな地形と人々のささやかな日常…ホテルのテラスから私が目にしたのは、両極の美しさを持つ魅力的な風景であった。
写真と文：吉田美智枝
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