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写真と文： M.Yoshida
ビルの前面を覆うガラスに、高く澄んだ青空とこちら側のビルが映っている。まるで氷に映る景色のようだ。
ソウル市の中心、太平路（テピョンノ）のプレスセンター前で、道路を挟んで向かい側にあるコリアナホテルを写した。 |
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▲ 不思議な形のビルが目に入る。
ロッテホテルの前から。 |
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| ▲ 夕暮れどき。ラッシュ時の道路の混雑は東京以上だが、最近は地下鉄がソウルを網羅し、利用する人々も増えた。 |
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▲ 高層ビルの谷間には昔ながらの建築様式（韓屋＝ハノク）の店がまだ多く残っている（左側中ほど）。「日式」の看板は日本料理のこと（右端）。
赤い灯りと行きかう人々の姿が、心をなごませる。 |
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今年、日本の冬は寒い…そう思っていた。が、私がソウルに着いた翌日（２月２５日）と翌々日（２６日）、最低気温は零下９度だった。ソウルの冬に比べれば、東京の寒さなどどうってことない。
これほどの寒さの中に身を置くと、むしろすがすがしい気分にさえなる。クリアに晴れ渡った空のように、頭も体もすべての神経が冴え渡ってくる。
この青空なのに、午後３時半、気温はやはり零下だった。ソウルの人々はなぜかいつも薄着だ。高いビルが増え、街が近代的になった以外は、私が住んだ２５年前の風景とあまり変わりがない。長いオーバーコートを着ている人は少なく、ミニスカートに素肌を出している若い女性も目にした。
日本と韓国は今、竹島（韓国では独島＝ドクト）問題で揺れている。そして今日、韓国の盧大統領は演説で、日韓両国間の過去の問題の見直しを訴えた。
TV画面に映し出される竹島は、どんよりと曇った冬空に打ち寄せる荒波が高いしぶきを上げている。まるで竹島問題が過去に対する韓国の国民感情を再燃させ、韓国人の心を凍らせたかのようだ。
このところ韓流ブームで、日本から多くの旅行客が韓国を訪れ、日本人の韓国に対する見方に大きな変化がみられる。人々の交流は順調で、日本と韓国の間には晴れ渡った空が広がっているように思えるのに、国と国との政治となるとどうしてこうもものごとが難しくなるのだろう。
今日、３月１日は韓国の日本植民地からの独立記念日である。歴史的な記念日にあっての大統領の発言という意味合いが大きいだろうが、だからといって私たちは型どおりのものと捕らえてのんびり構えていていいのだろうか。
３８度線で二分された韓国と北朝鮮という図式化された見方に安住していると、いろんなことが見えなくなる。韓国は動いている。
ソウルの頬を刺すような冷気の中で、不況、不況と騒ぎながらも平和ボケしたニッポンというものを“痛く”実感した。
日本でいうところの“雪解けの季節”に予感される“寒気”。これが杞憂に終わることを願う。
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