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写真・文 KOOZY
私は旅先で土産を買うのが苦手だ。同じような物を売っている土産物屋が軒を連ねていると、買う前に見ているだけでお腹いっぱいになる。それに東京という都市にいると、世界のあらゆる物がかんたんに手にはいるし、これなら日本でも買えるしぃ…と、つい財布をかたく閉じてしまう。そして、気づけば何も買っていないなんてことが多い。
しかし、そんな私が今回の旅行で一目惚れの品物に出会った。エーゲ海に浮かぶミコノス島。迷路のような街中で、白い壁に色鮮やかな毛糸で編んだスカーフや帽子を壁にかけてある店をみつけた。日射しは強く、10月中旬なのにまだノースリーブ姿の私。こんな暑いのに商売になるのか？？なんて、余計な心配をしながら、中に入ると、壁にかけてある青と黒のアンゴラで編んだスカーフが目の中に飛び込んできた。「エーゲ海の青」そのもの。こんなのこれまでみたことない。私はやわらかいそのスカーフを手にとり、それを光にあててみた。 |
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細い糸の１本1本は、海の中から水面を見るときにみえる、ゆらめく波のようだ。以前はこの地域にもいくつものハンドメイドの毛織り物店があったそうだ。しかし大都市への移住、転職、他界などで現在このような店は今ではNIKOLETAのところ一件だけという。これはミコノス島のこの店でなきゃ手にはいらないものだなぁ、と日本の商社が買い付けにこないことを祈りながら、そのスカーフを握りしめた。
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